ホームページを作っただけでは、なぜ集客できないのか
ホームページを作ったのに、思ったほど成果に繋がらない。
そういう感覚を持っている経営者の方は、案外多いのではないかと思います。デザインも整っている。情報も載せている。それなのに、問い合わせも増えなければ、認知も広がらない。なぜこういうことが起こるのか。
Web制作の仕事を続けていると、こういうご相談に出会う機会が時々あります。
そして話を伺っていくと、原因がホームページそのものではなく、別のところに問題があるケースが少なくありません。
この記事では、ある経営者の方から受けたご相談を入り口に、ホームページが集客に繋がらない構造的な理由について、私の考えをお伝えします。
ご相談から見えてきた、導線の途切れ
先日、ある経営者の方から、ホームページについてのご相談をいただきました。
「うちのホームページ、どうしたらいいかな」という、ざっくりとしたお話でした。
具体的に何を改善したいというより、漠然とした課題感を抱えていらっしゃる、そんな相談の入り方でした。
お話を伺っていくと、その方はホームページ単体ではなく、Web集客全般に対してしっかりと取り組んでこられた方でした。
特にGoogleマップの口コミには、相当な力を入れていらっしゃいました。お客様に口コミの記入をお願いする仕組みを作り、コツコツと評価を積み上げてこられたとのことです。
Googleマップで自社の情報を見たお客様が、その口コミに後押しされて公式サイトを訪れてくれる。そういう導線を期待されていたわけです。
ところが、私が実際にGoogleマップを開いて、公式サイトへのリンクをクリックしてみたところ、リンクが切れていました。リンク先が古いサイトのままになっていたのです。
新しい公式サイトはきちんと存在しているのですが、Googleマップに登録されているURLが古いままで、新しいサイトに繋がっていない状態でした。
お客様が口コミを読んで「この会社に頼んでみようかな」と思ったその瞬間に、肝心のサイトに辿り着けない。
せっかく時間とコストをかけて積み上げてきた口コミの先で、導線が途切れてしまっていたわけです。

実は、こういう状態は決して珍しくありません。
お客様と同じ目線でサイトを検索したり、導線の一つひとつをクリックして確認するということは、運営側からするとあまりないものです。
施策を実行している側に立つと、どうしても「特に問題がない前提」で運用してしまう。
Googleマップの口コミを増やすことには集中していても、その先のリンクが正しく機能しているかまで意識が及びにくい。これは個人の注意不足というより、運用する側に立つと自然と起こる構造だと思っています。
一つひとつの施策に力が注がれていたとしても、施策同士が繋がっていなければ、お客様には届かない。
口コミという施策と、公式サイトという施策。それぞれは前に進んでいるのに、その間が途切れているせいで、結果として成果に繋がっていない。こういうことが、案外あちこちで起こっているのです。
似たようなケースは、他にもよくあります
導線に異常があるケースは、他のサイトでもよく見かけます。
様々なサイトを見ていて、特に多いと感じるのが、お問い合わせフォームが正しく機能していないケースです。
サイトが古くなってくると、フォームの動作にも不具合が出てきます。お客様が必要事項を入力して送信ボタンを押したのにエラーで送信できない。あるいは送信できたように見えて、運営側にメールが届いていない。こういった状態のサイトを、私は何度も目にしてきました。
お客様の側からすると、エラーが出ると「うまくいかないな」「面倒だな」と感じて、そのままページを閉じてしまうことが多いものです。
問い合わせようと思ってくれた、その意欲のあるタイミングで、お客様は離脱します。
最後のひと押しまで進んでくれた人を、最後の最後で取りこぼしているわけです。
たとえるなら、レジが壊れているスーパーのようなものです。

店内を回り、野菜や魚や肉をカゴに入れて、いざレジに並んだら、レジが動かない。これまでの時間と労力が、すべて無駄になります。
ホームページで言えば、お問い合わせフォームがレジに当たります。最後の地点で機能していなければ、それまでの全てが成果に繋がらない。
Googleマップのリンク切れも、フォームの不具合も、共通しているのは「個別の施策の最適化を考えるあまり、全体の動線設計でつまずいていることに気づけていない」という構造です。
それぞれの施策をより良くしようと取り組むこと自体は、もちろん意味があります。ただ、個別の施策に意識が向きすぎると、その施策と他の施策を繋ぐ部分への目配りが抜け落ちる。
一つひとつの要素は前に進んでいるのに、それらを繋ぐ動線が機能していないせいで、結果が出ない。こうしたことが、実際に多くの会社で起こっています。
ホームページは、事業戦略の中の一部分
ここまで2つの事例を見てきましたが、共通しているのは構造の問題です。
ホームページというものは、それ単体で成立しているものではありません。Web全体の戦略の中の一部分であり、さらにそのWeb戦略は、事業全体の戦略の中の一部分です。
個別施策に集中するあまり、全体が見えなくなる
施策を実行している側に立つと、どうしても目の前の施策の改善に意識が集中します。
Googleマップの口コミを増やしたい、サイトのデザインを綺麗にしたい、SEOで検索順位を上げたい。それぞれの取り組みは前向きな努力です。
ただ、一つの施策に集中している間、他の施策との繋がりは視野から外れることが多いものです。
これは、木を見て森を見ず、という状態です。
一本一本の木を丁寧に手入れすることに集中するあまり、サイト(森)全体がどういう形になっているのか、全体として機能しているのか、という視点が抜け落ちてしまう。
正直なところ、これはWeb制作の仕事をしている私たちでも、油断すると陥ります。
特定のページのデザインに没頭していると、サイト全体の動線が見えなくなる。だからこそ、定期的に一段引いた視点で全体を眺める時間を、意識的に確保するようにしています。
スーパーの店内に学ぶ、動線設計の考え方
一段引いた視点で全体を眺める、というのはどういうことか。
身近なスーパーの話で考えてみます。
スーパーに買い物に行くと、多くの店では入り口を入ってすぐに野菜売り場があります。
その奥に魚売り場、肉売り場と続き、最後に卵や牛乳、パンなどが配置されている。店内を外回りに進んでいくうちに、自然と必要なものがカゴに入っていく。こういう構造のお店が多いはずです。
これはお客様の行動を想定して、緻密に店舗設計された結果です。
ホームページも、本質的には同じです。お客様が最初にどこから入ってきて、次にどのページを見て、どこで興味を深め、最終的にどこで行動に移すのか。この一連の流れを設計した上で、それぞれのページが配置されているかどうか。ここが見落とされやすい部分です。
個別のページを作り込むことと、サイト全体の動線を設計することは、別の作業です。
一つひとつの売り場を魅力的にすることと、お店全体の動線を考えることが別の仕事であるのと、同じです。
では、どこから始めればいいのか
ここまでお話ししてきたことを踏まえると、ホームページや個別施策に取り組むときの順序が見えてきます。
まずは、事業全体の中でホームページにどんな役割を持たせるのかを整理する。お客様が自社を知ってから、最終的に問い合わせや購入に至るまでの一連の流れを描いた上で、その中の各場面で、ホームページ、Googleマップ、口コミ、広告など、それぞれの施策がどの役割を担うのかを決める。
その上で、初めて個別の施策に取り組んでいく。この順序が大事だと考えています。
もちろん、Googleマップの口コミを増やすことも、サイトのデザインを整えることも、SEOで検索順位を上げることも、それぞれは事業に必要な取り組みです。ただ、その施策が事業全体のどこで機能するのかを定めないまま走ると、繋ぎの部分で動線が途切れてしまいます。
最初から完璧な全体設計を描くのは難しいものです。事業の状況は変わりますし、お客様の動きも変わります。ただ、一度立ち止まって「自社の事業の中で、ホームページにどんな役割を持たせたいか」を考える時間を取るだけで、その後の個別施策の取り組み方は大きく変わります。何のためにこの施策をやっているのか、という軸が一本通るからです。
そして、この「整理する時間」こそが、私たちが大切にしている部分です。
私たちが、戦略の整理から関わろうとしている理由
ホームページ制作の仕事は、デザインやコーディングといった「作る」工程が中心になりがちです。ただ、私自身はずっと、作ることだけに価値を置いてきたわけではありません
何のために作るのか。作った先に、お客様の事業がどう動くのか。ここを考えずに手を動かしても、本当の意味でお客様の役に立つ仕事にはならないと思ってきたからです。
近年、AIの登場によって、それっぽいサイトやそれっぽい施策であれば誰でもある程度のレベルで作れる時代になりつつあります。だからこそ、ますます重要になるのが「どういう目的で作るのか」という、その手前の部分だと感じています。
私たちがホームページを作る前の「整理する時間」を大事にしているのも、この考えがあるからです。なぜこの順序を大切にしているのかについては、別の記事で詳しく解説しています。
事業の中で、ホームページにどんな役割を持たせるのか。サイトを訪れる方がどんな流れで貴社を知り、どこで興味を持ち、どこで決断するのか。
こうしたことを、お客様と一緒に考えていく。その上で、サイトの設計に入り、制作に入る。この順序で進めることで、作ったサイトが事業の中で機能する確率を、少しでも高められると考えています。
ホームページを、事業の中で位置づけ直してみる
ホームページは作っただけでは集客に繋がらない、というのが、この記事でお伝えしたかったことです。
正確には、ホームページ単体の出来不出来の話ではなく、そのホームページが事業全体のどこに位置していて、他の施策とどう繋がっているのかが、成果を左右する。Googleマップの口コミも、広告も、SNSも、それぞれは事業の中の一つの要素であって、それらが連携して初めて、お客様が自然に問い合わせや購入まで進む流れができます。
もし今、ホームページを持っているけれど思うように成果に繋がっていないと感じているなら、サイトの中身を見直す前に、一度、自社の事業の中でホームページにどんな役割を持たせたいのかを整理してみる、というのも一つの方法かもしれません。
自社だけで考えるのが難しい場合は、外部の視点を入れて一緒に向き合う、という選択肢もあります。私たちもこうしたご相談から関わることが多くあります。
ホームページは、作って終わるものではなく、事業の中で機能させるためのものです。この視点で一度位置づけ直してみると、見えてくるものが変わってくるかもしれません。
