なぜ私たちは上流工程を大切にしているのか|作る前に徹底的に考える理由
ホームページ制作には「上流工程」と呼ばれる工程があります。デザインや実装に入る前に、お客様の事業を理解し、サイトの方向性を設計する工程のことです。
平たく言えば、作る前に徹底的に考える時間のことを指します。
私たちはこの上流工程に、工数全体の約30%の時間を充てています。なぜそこまで時間をかけるのか。この記事では、その理由をお伝えします。
上流工程とは何か
上流工程とは、デザインや実装といった制作工程に入る前に、お客様の事業を理解し、サイトの方向性を設計する工程のことです。平たく言えば、制作前に徹底的に考える時間を指します。
ホームページ制作の全体像
ホームページ制作は、大きく3つのフェーズに分かれます。

多くの方がイメージされる「ホームページ制作」は、デザインや実装といった制作工程の部分ではないでしょうか。上流工程は、その手前にあたる工程です。サイトの目的を定め、どのような構成で作るかを設計し、制作工程に引き継ぐための土台を作ります。
上流工程がある制作と、ない制作の違い
では、上流工程にしっかり時間をかけた制作と、そうでない制作では、具体的に何が違うのでしょうか。
少しイメージしやすいように、建売住宅と注文住宅に例えてみます。
建売住宅は、すでに完成した状態で販売されています。見た目もきれいですし、すぐに住み始めることができます。ただ、そこに住む人の暮らしに合わせて設計されたものではありません。
一方、注文住宅は、住む人の生活スタイルや家族構成に合わせて一から設計します。
ホームページにも似たことが言えます。上流工程に十分な時間をかけなくても、サイトは形になります。見た目もそれなりにきれいに仕上がります。ただ、事業やお客様への理解の深さ、そこにかける時間の差が、最終的なサイトの仕上がりに影響してきます。
たとえば、サイトに掲載する原稿一つとっても違いが出ます。お客様の事業を深く理解し、届けたい相手のことまで把握していれば、制作会社側でターゲットに響く原稿を書くことができます。一方、事業やターゲットの理解が浅い場合、「原稿はお客様の方でご用意ください」という進め方になりがちです。つまり、書けないわけです。
上流工程がある制作と、ない制作の違いは、こうした一つ一つの工程に表れてきます。
なぜ、上流工程を大切にしているのか
ここからは、私たちがなぜ上流工程に時間をかけているのか、その理由について解説します。
形だけを真似しても成果は出ない
ホームページのリニューアルをご検討される際、「競合のあのサイトのような形にしてほしい」というご相談をいただくことがあります。
構成を真似すること自体は、それほど難しいことではありません。
ただ、同じ構成にすれば同じ成果が出るかというと、そう単純な話ではありません。
例えば、高級路線の商品を扱っているお店が、激安店の陳列をそのままマネしてもうまくいかないように、事業の全体像が異なれば、最適なサイトの形も異なります。
サービスの特性、届けたい相手、価格帯、お客様がサービスを知るまでの流れ。
こうした要素が違えば、見えている「形」が同じでも、成果につながるとは限りません。
形の裏には、そのサイトなりの戦略があります。
形だけを真似しても、その戦略ごとコピーすることはできません。
まず自社の事業の全体像を理解した上で、Webの目的を決める。
私たちが上流工程を大切にしている理由の一つは、ここにあります。
考え抜いて作るサイトは、成果につながる確率が高い
私たちが上流工程に時間を使うのは、考え抜いて、お客様と共に作り上げたサイトは、ただ形にしただけのサイトよりも、成果につながる確率が高いと考えているからです。
「問い合わせを増やしたい」「来てほしいお客様に見つけてもらいたい」。
そうした目的を持ってサイトを作るのであれば、作る前の段階で、事業のこと、届けたい相手のこと、競合の状況を深く理解しておく必要があります。この土台があるかないかで、サイトが果たす役割は大きく変わってきます。
お客様自身に新たな気づきが生まれることがある
上流工程を大切にしているもう一つの理由があります。
ヒアリングの中で、お客様ご自身が「たしかに、そこは整理できていなかった」と気づかれる瞬間があります。
たとえば、「御社のお客様は、なぜ他社ではなく御社に依頼されているのだと思いますか」とお聞きすると、「言われてみると、ちゃんと把握できていないかもしれない。聞かないといけないですね」というお答えをいただくことがあります。
これは珍しいことではありません。日々の業務の中で、自社の事業を改めて言語化する機会は意外と少ないものです。
私たちのヒアリングは、サイトを作るための情報収集だけではなく、お客様と一緒に事業を整理する時間でもあります。この整理の中から生まれる気づきが、サイトの方向性だけでなく、事業そのものにとっても価値のあるものになることがあります。
私たちが作る前にやっていること
ここからは、弊社が行なっている上流工程の一部をご紹介します。
お客様の事業と、その先にいるお客様を理解する
上流工程の最初のステップは、お客様の事業を知ることです。
どんなサービスを提供しているのか。どんなお客様に届けているのか。
お客様はどういう流れで御社を知って、相談や依頼に至ることが多いのか。
実際にどんな声をいただいていて、喜ばれるポイントはどこか。
逆に、不満につながりやすいポイントはどこか。
こうしたことを一つ一つヒアリングしていきます。
次に、同業他社をWeb上で調査します。競合の状況を知ることで、御社の強みや差別化のポイントがより明確になるためです。
その上で、サイトに訪れる方のことを考えます。御社のサービスを必要としている方は、どういう人で、どういう状況にいるのか。サイトを訪れる瞬間、何を感じているのか。これらを整理することが、この後の設計の土台になります。
サイトの目的とゴールを明確にする
事業を理解し、届けたい相手の像が見えてきたら、次はサイトの目的とゴールを明確にします。
今回のリニューアルで何を実現したいのか。問い合わせを増やしたいのか、採用を強化したいのか、既存のお客様に安心感を持ってもらいたいのか。そして、その成果をどのように測定するのか。
ここで大切なのは、やることだけでなく、やらないことも決めることです。あれもこれもと盛り込みたくなるのは自然なことですが、目的が複数あると、サイトの方向性がぼやけてしまいます。「今回はここに集中する」という判断を、お客様と一緒に決めていきます。
この段階で目的とゴールが明確になっていれば、この後のデザインや構成の判断で迷いが生まれにくくなります。逆に、ここが曖昧なまま進めてしまうと、制作の途中で「思っていたのと違う」ということが起きやすくなります。
届けたい相手に合わせてサイト構成を設計する
事業の理解、競合の把握、ターゲットの想定、そして目的とゴールの設定。これらが揃った段階で、はじめてサイトの構成を設計していきます。
どのページに、どんな情報を、どんな順序で配置するか。サイトに訪れた方にどう感じてもらい、どんな行動を取っていただきたいのか。これを一つ一つ設計していく工程です。
ある士業の先生のサイトを制作した際、「想定しているお客様は、どんな時間帯に、どのような気持ちで、どういう状況で初めてサイトを訪れるのか」ということを徹底的に議論しました。
想定されたのは、悩みを抱えているけれど、どうすればいいかもわからない方。日々の家事や育児に追われ、ようやく自分だけの時間ができた夜に、疲れきった状態でスマホから検索をしている。まさにその瞬間に、最初にサイトを目にするわけです。
このような方に対して、トップページに膨大な情報を載せることが有益かというと、むしろ負担になります。先生の目的は、「安心して相談できそうだ」という第一印象を持ってもらうこと。であれば、情報量を絞り、その印象に集中した構成にしようという方向性になりました。
この判断は、事業を理解し、届けたい相手の状況を先生と一緒に想定していたからこそできたものです。上流工程で積み重ねた理解が、サイトの構成という具体的な形になる。これが、私たちが制作に入る前に大切にしている工程です。
まとめ
ホームページは、作って終わりではありません。事業の成果につなげるための手段です。
だからこそ私たちは、制作に入る前に「誰のために、何のために作るのか」をお客様と一緒に考える時間を大切にしています。事業を理解し、届けたい相手を想定し、目的とゴールを明確にする。この積み重ねがあってはじめて、成果につながるサイトの設計ができると考えています。
もし今、「ホームページはあるけれど、何の役に立っているかわからない」と感じていらっしゃるなら、まずは事業の整理からお手伝いできます。お気軽にご相談ください。