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下請け比率9割から5割へ。Web制作会社が自社サイトリニューアルで考えたこと

下請け比率9割から5割へ。Web制作会社が自社サイトリニューアルで考えたこと

こんにちは、シンクション株式会社の吉村です。

私のWeb制作の始まりは、2020年の3月、ちょうどコロナが始まった時期でした。いただいたデザインをコーディングするという下請けの仕事を中心に、少しずつ仕事を広げていきました。

ありがたいことに、お付き合いいただける取引先は一社、二社と増えてはいきました。しかし全体で見ると、特定の取引先に依存している状態でした。正直なところ、この関係がいつまで続くか分からないという不安は常にありました。自分たちの力で市場を開拓していく必要性は、早い段階から感じていました。

同時に、Web制作の市場そのものも変わってきていました。制作会社だけでなく、フリーランスの方や副業で制作をされる方もどんどん増えて、作業の単価も下がり続けている。

「作るだけでは選ばれなくなる」という危機感は、当時から持っていました。

そこで、自社のサイトをしっかり作り込み、そこから集客していくということを一つの手段として取り入れました。大きなリニューアルとしては今回で4回目になりますが、細かい調整まで含めると、本当にたくさんの時間を自社サイトに費やしてきています。

結果として、下請けの比率は9割から約5割まで変わりました。

この記事では、今回のリニューアルで何を考え、どのように進めたのかを書いてみたいと思います。
制作会社が自社のサイトをリニューアルするとなれば、当然ながら今まで培ってきた知見を全て注ぎ込みます。

その考え方が、これからリニューアルを検討されている方にとって、少しでも参考になればと思います。

強みだと思っていたものが、選ばれる理由になっていなかった

以前の自社サイトでは、「SEO対策に強いWeb制作会社」という立ち位置を打ち出していました。

SEO対策とは、GoogleやYahoo!などの検索結果で自社のサイトを上位に表示させるための取り組みのことです。

弊社ではSEO対策マニュアルというコンテンツも立ち上げ、SEOの知見を体系的に発信することで、「この会社はSEOに詳しい」という認知を取りに行きました。

当時公開していた「SEO対策マニュアル」(※画像は旧サイトのものです)
現在の「SEO対策マニュアル」はこちら

実際、アクセス数はそれなりに伸びましたし、お問い合わせもいただけるようにはなりました。しかし、目標にはなかなか到達できない状況が続いていました。

SEO対策という言葉は、多くのWeb制作会社が謳っています。ちょっとした対策でも「SEO対策やってます」と言えてしまう。改めて、お客様からこの言葉がどう見えているのか、どういう印象を与えているのかを考え直してみました。

正直なところ、お客様の視点で見ると、どの制作会社も同じことを言っているように見えます。違いが伝わらなければ、「そこまでこだわらなくてもいいか」となりやすいものです。

さらに、AIの進化によって検索という行動そのものも変化してきています。AIに聞いて回答をもらうという行動が増えている中で、検索結果の最適化であるSEO対策を一番の特徴として打ち出し続けるべきなのか。

SEOを通じて培った「お客様の視点に立って、適切な情報を届ける」という考え方自体は、検索に限らず活きるものです。

ただ、その考え方を日々の仕事に活かすことと、「SEO対策の会社」として見られることは別物です。SEO対策そのものの価値がなくなったわけではありません。
ただ、それを一番の強みとして打ち出し続けるべきかは、改めて考える必要がありました。
考えた結果、立ち位置を変化させるべきだと判断しました。

自社が強みだと思っていることが、お客様から見ても強みとして伝わっているか。このズレに気づいたとき、デザインや構成を変える前に、もっと根本的なところから見直す必要があると感じました。

来てくれた人を導く流れに課題があった

立ち位置を見直すと決めたのと同時に、旧サイトの課題も改めて整理しました。そこで見えてきたのは、サイトに来てくれた人を次の行動へ導く流れ、いわゆる「導線」の問題でした。

旧サイトでも、当然ながらその流れは考えた上で設計していました。しかし、結果として十分に機能していなかった。サイトを訪れた人がまず何を見て、次にどこへ進み、最終的にお問い合わせに至るのか。振り返ると、改善すべき点がいくつもありました。

知ってもらうだけでは足りない。知ってもらった後に、もう少し深く興味を持ってもらう。興味を持った段階で、他社と比較検討してもらう。そして比較検討の結果、「ここに頼もう」と確信に至る設計やコンテンツがそこにあるのか。この流れのどこかが途切れていると、アクセスがあってもお問い合わせにはつながりません。

この課題を一つ一つ明確にしていく中で、流れを直す前にもっと根本的なことを考える必要がありました。

立ち位置を変えるのであれば、そもそも「自分たちは誰に、何を届ける会社なのか」を改めて考え直す必要があります。ここがはっきりしていないと、導線の設計もぶれてしまいます。

自社のサイトを訪れた人が、迷わず次の行動に進める状態になっているか。一度この視点で自社サイトを見直してみると、思った以上に気づきがあるかもしれません。

誰に、何を届ける会社なのか

立ち位置を変えるにあたって、まずやったのは「今できること」と「これからしていきたいこと」を明確に区別することでした。

どちらも大事ですが、今まさにできることでお客様の課題を解決できることを明確にする。ここが出発点でした。

そう考えたとき、弊社の得意な分野を最も活かせるのは、商圏エリアが限られた中でビジネスをされている方々だと見えてきました。

全国で事業をされている方と比べると、限られたエリアの中で知ってもらう機会を最大化することは、SEOを通じて培ってきた弊社の考え方が活きる領域です。お客様の目的や目標をしっかりと拾い上げて、その達成を支援する。それが、自分たちに合った立ち位置だと判断しました。

届ける相手が見えてくると、次はその方々が何に困り、どう判断し、何に不安を感じているのかを具体的にしていく必要があります。ここを社内で徹底的に議論し、言語化しました。届けたい相手の困りごとや判断の基準を具体的にしていくと、サイトに載せるべき言葉も構成も自然と決まってきます。

なお、弊社の理念は「デジタルを通じて、すべての人を幸せに」です。

Webだけに絞るのではなく、AIの活用や業務のデジタル化など、今できることとこれから挑戦していくことの両方で、お客様をより良くしていきたいという考え方は、立ち位置を変えても変わりません。

リニューアルの前にまず考えるべきことは、デザインでも構成でもなく、届けたい相手を明確にすることです。ここが定まると、その後の判断に迷いが出にくくなります。

お客様の目線で、競合を調べた

立ち位置と届けたい相手が決まると、次に見えてくるのは競合です。同じような立ち位置で、同じような相手に届けようとしている会社はどこなのか。その競合のサイトを、お客様の目線で見ていきました。

パソコンや、スマートフォンで見たりしながら、どこで興味がわくのか、どこで立ち止まるのか、どこがさらっと流し読みされてしまうのか。テキストをしっかり読み込む人もいれば、そうではない方もいます。いろいろな視点で競合のサイトを見て回ると、気づくことがあります。

どのサイトも同じようなことを言っている箇所と、独自の考え方が伝わる箇所。売り込みの強さに引いてしまう瞬間と、「この会社は自分たちのことを分かってくれそうだ」と感じる瞬間です。こうしたリサーチを通じて、自社のサイトをどう設計すべきかが見えてきました。

サイト全体を「お客様が知りたい順番」で組み直した

ここまで考えた上で、ようやくサイトの構成に入りました。

構成を考える際に意識したのは、届けたい相手がどういう心理状況でサイトに入ってきて、どのくらいの温度感で見ているのか、そして次にどういうステップに進んでほしいのかということです。

以前のサイトでは、サービスの紹介をなるべく早く見せる構成にしていました。しかし今回は、立ち位置を変えたことで構成の考え方も変わりました。限られたエリアでビジネスをされている中小企業の経営者に向けて、まず自社の考え方やコンセプトを最初に知っていただく配置にしました。他の競合とは少し違うのではないかと、立ち止まっていただくきっかけをつくるためです。

その次に、その考え方を実際に体現した結果として、どういう事例が生まれたのかをプロジェクトストーリーとしてお伝えする流れにしました。単に「問い合わせ数が何倍になりました」という結果だけではなく、お客様がどのような状況で相談してこられて、私たちがどう向き合い、結果としてどうなったのか。考え方と結果を一緒に伝えることで、「この会社に相談したらどうなるか」をイメージしてもらえるようにしました。商品やサービスありきではなく、まずお客様の課題や目的に向き合うという前提を、サイトの構成そのものに反映しています。

各サービスページも同じ考え方で設計しています。サービスページは、一度読んで終わるものではありません。お問い合わせ前の情報収集として見る方もいれば、比較検討中に他社のサイトと行き来しながら見る方もいます。何度も見返される前提で、途中のセクションだけ拾い読みしても「この会社がどういう考え方で仕事を進めるのか」が伝わるように設計しました。

デザインにも、一つ一つ理由がある

デザインに関しても、ただ綺麗に作るということではなく、目的を達成するためにどういったデザインが適切なのかを検討しました。今回想定しているお客様層には、第一印象で「安心して相談できそうだ」と感じていただくことを大切にしました。ごちゃごちゃしすぎず、かといってシンプルすぎて寂しくもならない。届けたい相手にとって適切な情報量と見せ方を、デザイナーの方と何度もやり取りしながら作り込んでいきました。

たとえば、トップページのアニメーションには波紋が広がっていく表現を採用しています。先ほど触れた弊社の理念から着想したもので、身の回りの人たちから幸せが波及して広がっていくイメージを表現しました。

自社のサイトは今、どういう役割を果たしていますか

弊社はサイトリニューアルを繰り返してきた結果、下請けの比率は9割から約5割まで変わりました。

今回の記事で書いたような考え方に至るまでには、何度もの試行錯誤がありました。制作会社のプロとしての立場でありながらも、今回のリニューアルでは6案のデザイン検討を重ねました。

テキストも何度も何度も推敲しています。そしてデザインやテキストの前に、まずお客様の目的や事業のことをしっかりと知ることから始めないといけない。それが、今回のリニューアルを通じて改めて実感したことです。

届けたいお客様をしっかり定義し、そのお客様に喜んでいただける仕事を一つ一つ積み重ねていく。その先に、結果はついてくると考えています。

弊社は、限られたエリアでビジネスをされている中小企業を対象としたWeb制作会社です。ただ制作するのではなく、お客様の目的や目標を達成するための並走者でありたいと考えています。

自社のサイトは今、どういう役割を果たしていますか。
この記事が、その問いを考えるきっかけになれば嬉しく思います。

一度プロの視点で整理してみたいという方は、お気軽にご相談ください。

まずは、状況を整理するところから

「何を優先すべきかわからない」
「リニューアルすべきか判断できない」
そんな段階でも構いません。

無理に制作を進めるのではなく、
まずは現状を整理するところからご一緒します。

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この記事の執筆者

吉村 健太朗

吉村 健太朗

代表取締役

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